リメディアル教育が必要な学生が多数在籍する大学が増えている。そのため,日本リメディアル教育学会は,組織的な研究と具体的な対応策を共有し,具体的な成功事例の研究,啓蒙活動報告や社会への提言などを行う。

会長挨拶

会長挨拶

第4期会長 谷川 裕稔

会長写真この度,日本リメディアル教育学会(以下,JADE)の会長2期目を仰せつかりました。新たな気持ちでJADEの運営に臨む所存です。

JADEは2005年に設立されました。本学会の活動目的は,高等教育場面(大学,短期大学,高等専門学校,専修学校専門課程,大学院含む)における学習・学修支援のあり方について研究することにあります。設立以来,学習支援分野研究のフロントランナー的な役割を果たしてまいりました。研究内容は,教育方法(教授法),組織論,評価方法などです。対象は,高等教育機関に学ぶ学生すべてですが,高大接続と出口保証を意識し,入学前の高校生,卒業生も視野に入れています。現在,7支部会,8専門部会があり,全国大会以外に各部会での研究活動(支部大会・研究会)が活発になされています。

さて,第15回全国大会の総会(於 金沢工業大学:2019年8月27日)にて以下の2件が承認されました。

学会の更なる発展に向けて,JADEは,以下の事項の実現を目指しています。

  • (1)「リメディアル教育」概念に関するJADE独自の定義の確立
  • (2)CRLA(College Reading& Learning Association) の日本支部会の設置

(1)ですが,JADEでは「リメディアル教育=学習・学修支援」と位置づけることになりました。このことは,学士課程内外の単位不認定の営みや授業科目のみならず,単位認定のそれらも含むものである旨を公式に表明したことを意味します。ご存じのように中教審答申(2008)以降,「リメディアル教育」は,大学の正課外活動として位置づけられ,単位不認定科目として高等教育場面でひとり歩きするようになったという経緯があります。しかし,これまでのJADE会員の発表をながめてみると,同概念を正課内活動ととらえた内容が大半を占めてきました。いずれにしましても,今回の総会の承認にて「リメディアル教育」概念定義の会員間の共有をみることになりました。詳細は学会ホームページの「リメディアル教育の定義」をご覧ください。今後は,’student success’を意識した活動を展開していく所存です。

(2)ですが,海外の学習支援系学会,特にはアメリカ高等教育機関の学習支援系団体との連携・提携をはかる第1弾として,2大学習支援系学会のひとつであるCRLA(College Reading and Learning Association:以下,CRLA)とのそれが,JADE内(国際交流委員会)にCRLAの支部会(CRLA Japan Chapter:以下,CJC)が設置されることで実現する運びとなりました。具体的には,①大会の共同開催,②共同研究,③情報交換,などをイメージしています。JADE会員であれば,CJCの研究活動に参加することができます。特筆すべきは,CJCが開催する大会は国際大会になるということです。しかも,JADE会員であればCRLAのジャーナル誌(Journal of College Reading and Learning)に投稿する機会が得られます。現在CJCは,CRLAのハワイ支部会との共同開催(joint conference:2020年9月)を模索しています。海外の学会との連携・提携は,JADE会員にとって刺激になるものと信じています。

新しい試みとして,全国大会レベルの(3)「授業実践フォーラム」「課題研究大会」の定着,(4)JADEが付与する学習・学修支援関連資格の企画・運用,などの任期中の具現を目指します。

最後に,理事会,支部・専門部会・諸委員会の委員および会員の皆様の献身的な活動に感謝いたしますとともに,引き続き建設的なご意見,ご提言を賜りたく,皆様のご協力方よろしくお願い申し上げます。

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